2025年の予算演説において、マルタ政府はジェンダー平等と社会福祉の向上に向けた複数の新たな施策を発表しました。生理用品と女性がん患者向け医療用アクセサリーのVATをゼロにすることに加え、LGBTIQコミュニティ支援拠点の設立や家庭内暴力被害者向けの支援施設の開設も行われます。これらの施策は、すべての市民が安心して生活できる社会の実現を目指しています。
生理用品と医療用アクセサリーのVATゼロへ
今回の施策の一環として、政府は、生理用品と女性がん患者向けの医療用アクセサリーに対するVATを撤廃する方針を発表しました。生理用品は現在18%の通常VATが課されていますが、政府は2022年の選挙公約に基づき、税率をゼロに引き下げるとしています。この決定は、EUが制定した「軽減VAT率指令」により可能となったもので、医療および衛生用品が必需品として位置づけられ、税金から解放されることが認められています。
また、マルタでは3つの学校で実施されている「生理用品パイロットプロジェクト」によって、約900人の女子生徒が学校内のディスペンサーから無料で生理用品を受け取ることができるようになり、若年層の支援にも力を入れています。
ジェンダー平等と福祉向上に向けた包括的な施策
ジェンダー平等と市民権の拡大を目的として、マルタ政府は首都バレッタにある政府の建物を改装し、LGBTIQコミュニティとその家族のために心理社会的な支援を提供する拠点として機能させる計画を発表しました。この施設は、LGBTIQコミュニティのメンバーやその家族が必要な支援を受けやすくし、社会的な包摂を進めるための重要な一歩です。
家庭内暴力被害者向け支援センターの拡充
家庭内暴力対策として、政府は来年、ムタルファに新たな支援センターを開設します。このセンターは、今年2月にサンタ・ルチアで開設された最初の支援センターに次ぐもので、被害者とその子供たちに即時の保護とサポートを提供します。さらに、政府は被害者に対して緊急時に使用できるパニックアラームの配布も予定しており、被害者の安全確保に向けた取り組みを強化しています。
未来に向けたジェンダー平等と社会福祉の推進
これらの施策は、マルタ社会の多様性を尊重し、すべての市民が平等にアクセスできる社会サービスを目指した政府の取り組みを示しています。生理用品の無料提供や医療用アクセサリーの非課税化といった施策は、女性の健康と福祉の向上に直結し、家庭内暴力やLGBTIQコミュニティに対する支援も、人権と市民権の保障に大きく貢献するものです。マルタ政府はこれらの施策を通じて、ジェンダー平等と社会的包摂の推進に向けた一歩を踏み出しています。